This is a Japanese translation of “Summary of 80,000 Hours’ key ideas”
by EA Handbook, 80000_Hours 2022年 5月4日
要約:規模が大きくて見過ごされている世界的な問題に対して、効果的に貢献できるような何かを身につけよう。
インパクトが大きいキャリアを築くには究極的に何が必要か?キャリアを通じて、より良いインパクトを与えるには、以下のことを目指すと良いでしょう。
- より差し迫った問題の解決に貢献する。地球規模課題の多くはもっと注目を集めるべきですが、個人としては、既存の取り組みの中で最も大きなギャップがどこにあるのかを探す必要があります。そのためには、問題の規模、見過ごされている度合い、取り組みやすさという観点から問題を比較することができます。すると、規模の大きさと取り組みやすさに対して、注目度が何百倍も低い問題があることがわかります。つまり、どの問題に取り組むかが、あなたが与えられるインパクをを大きく左右する可能性が高いということです。特に、私たちの世代は、変革的なテクノロジーの台頭を目の当たりにするかもしれません。そして、それによって存亡リスクが引き起こされたり、今が、今後何世代にもわたって未来に影響を及ぼす可能性のある重大な局面となるかもしれません。しかし、現在の制度は、これらの問題に関してほとんど何もしていません。私たちは、今すぐ多くの人が取り組むべきだと考えられる特に差し迫った地球規模課題のリストを作成しました。
- このような問題に貢献する機会をより多く得られる進路を探す。最も差し迫った問題に対して、より多くのリソース(お金、注目、スキル)を動員できるという意味で、他の進路よりもレバレッジを効かせることができる進路もあります。より大きな影響力を得ることができる例として考えられるのは次のようなケースです。 政府や政策に携わる・他者を動員したり、アイディアを広めたりする(例:メディア)・大きな影響力を持つ人や組織を支援する・よく的が絞られた寄付をする・特定の研究や技術の開発を支援する。さらに、1年間の活動で10倍、100倍の成果を上げる解決策もあるため、より効果的な解決策を支援しようとすることも、貢献度を大きく高める方法の一つです(訳注:どの問題を選ぶかと同様に、どの解決策を選ぶかで、与えられるインパクトが大きく変わる)。そのためには、経験則を駆使して、平均以上の確率で最も効果的な解決策を見つける「ヒットベース」のアプローチを取ることを提唱しています。特に大きな貢献ができるキャリア選択のアイディアを紹介しているので、参考にしてみてください。
- 自分により適した仕事を見つける。ある分野で最も生産性の高い人は、多くの場合、平均よりもはるかに大きな成果を収めています。加えて、たいていどんな分野でも傑出していれば、人脈やリソース、良い評判を得ることができ、より大きな力を発揮することができるようになります。ですから、有望な選択肢をいくつか見つけたら、その中から自分に適していると思われるものを選びましょう。
キャリア戦略: 最もインパクトのあるキャリアとは、この3つの要素を掛け合わせた積が最も大きくなるものです。また、これらの要素のうち1つまたは複数で10倍以上優れており、個人としても同様に満足できる進路を見つけることができる場合もあります。
しかし、実際に最良の進路を見つけるにはどうしたらよいのでしょうか。科学者のように考えてみましょう。まず、最も有望な長期的な進路をいくつか推測し、主な不確実性を特定します。不確実性を晴らすために低コストでテストを行い、最良の推測を行い、1~3年ごとに推測を更新するのです。時間とともに、特に次の3つの(互いに重なり合う)段階に焦点を当てます。
- 探索:有望な長期的な進路について学び、試してみる。少なくとも数年間を一つの進路に賭ける覚悟ができるまでこの作業を続ける。自分に最も適した進路を予測することは難しいですが、他の進路よりもはるかにインパクトのある進路もあるので、素晴らしい進路を見逃さないためにも、探索する価値は十分あります。(この段階は通常、18~24歳の人たちの重要な焦点です。)
- 投資:自分を最も加速させるキャリア資本を構築することで、より長期的な進路に賭ける。ほとんどの人は、40歳から60歳にかけて初めて生産性のピークを迎えるため、自分のスキルや人脈、評判などに投資して、将来的により大きなレバレッジを持つようにすることも推奨しています。これを行う際には、通常、低すぎる目標よりも少し高すぎるくらいの目標を目指す方が良いでしょう。一方でもしうまくいかなかったときに、別の進路にチャレンジできるように、バックアッププランを用意しておくことが重要です。(25歳~35歳)
- 展開:築いたキャリア資本を活用し、その時々の喫緊の課題に対して最も効果的な解決策をサポートする。(36歳以上)
これらすべてを行う間に、コミュニティを見つけ出すことも大切です。素晴らしいコミュニティを見つけると、一度に何百ものつながりを得ることができ、2人で協力して取り組めば、1人だけで取り組んだ場合の2倍以上の影響を与えることができます。私たちは、あなたが(そして私たちも!)同じ志を持つ人たちを見つけられるように、効果的利他主義コミュニティの構築に尽力しました。
世界で最も差し迫った問題に取り組むことにキャリアを集中させることは、誰にでもできることではなく、確かに簡単なことではありません。今すぐ転職することができなくても、自分のキャリア資本に投資しながら、自分が最も差し迫った問題だと思う問題に他者が取り組めるよう支援したり、寄付をしたりすることで、大きなインパクトを与えることができます。
もし転職するのであれば、自分が楽しめる仕事であり、他のニーズも満たせる仕事を探しましょう。もし、その進路が常に苦闘の連続であるように感じられるなら、それは持続可能なもではなく、他の人にインスピレーションを与えることもできないため、あなたが与えるインパクトという観点からも理想的ではない可能性があります。
幸いなことに、私たちが推奨するステップ(キャリア資本の構築、探求、そして意義ある問題に貢献すること)は、多くの人にとって個人的にやりがいを感じられるものと合致していると考えています。そのため、多少のトレードオフはあるかもしれませんが、これらのステップは、満足感と充実感が得られるキャリアへの道筋であり、かつ、いくつかの現代の重大な問題に取り組むためのキャリア実現への道筋にもなると考えています。
次に、各ステップについてより詳しく知りたい方は、キー・アイディア・シリーズの全文をお読みください。
また、差し迫った問題やインパクトのあるキャリア選択に関してもリストにまとめてご紹介しています。オーディオがお好きな方は、ポッドキャストをご確認下さい。
その後、私たちの優先課題領域のいずれかに取り組むことに興味がある場合は、チームと話すためにコンタクトフォームを入力していただき、マンツーマンのサポートを受けることができます。